過程を「見える」状態にしておく!
本題に入る前に例1・例2を見て下さい。これは共に同じ答えになっています。ちなみに両方とも正答。しかし、解答の優劣を付けるとしたら、例2の方が優れた答案といえます。それはきちんと途中経過の履歴を残しているからです。
例1
例2


万が一、答えが誤りだった場合、例1では見直しが不可能です。例2のようになっていれば、答え合わせの段階でどこでミスをしたのかを発見することができます。
相当数学ができ、計算力も備えている人以外は例2のような答案を心がけましょう。これは数学を学ぶ上で大切な習慣です。
で、実際に子どもたちの学習方法を見ていると、せっかく例2のような答案を書けているにもかかわらず、間違いになった瞬間、消しゴムで全て消してしまう子どもが結構います。それでは、途中経過を残した意味がなくなってしまうし、自分がどこでミスしやすいのか気づくこともできません。
だから、私は「消しゴムはなるべく使わないようにする」べきだとよく子どもに言います。言葉は良くないですが、まさに「証拠隠滅」だからです。
数学の計算にとどまりません。全てにおいて、間違いの履歴を残すのは大切なことです。なぜなら、学習とは「多くの問題の中から出来ない問題を発見して、それを繰り返し反復することで定着させていく」ことだからです。にもかかわらず、自分の答案の間違いを消しゴムで消し、直した上で〇をつけてしまう子どもは相変わらず多い。
たとえば、次のような場合。ちなみに正しい答えは「小さくなる」です。

Aくんはこの答えを「大きくなる」にしていました。これを、答え合わせの段階で間違いに気づき、消しゴムで丸ごと消し、「小さくなる」と書き直してしまいました。ここで、〇にしてしまうのは、間違った勉強のしかたです。なぜなら、〇にしてしまうことで、「できなかった」「間違えた」という事実まで消してしまうからです。後で見直しをするときに全く役に立たない方法だと思って下さい。
当たり前のことですが、正しくは、次のようにしっかり×をし、正しい答えを色ペンで書き込んでおかなければなりません。さらに補足する内容があれば、それもしっかり書き込んでおくのです。この極めて当たり前のことが出来ていない人は当然、点数にも結びつきません。仮にそれで点数が取れていたとしても、いずれつまずきます。

消しゴムを使いすぎると成績が下がる。これは極論かもしれませんが、学習塾などでは、消しゴムを使用禁止にしている塾なども実際あります。私は使うなとは言いません。やはり途中でミスに気づいて消させないのは不便ですから。それでも「証拠は残す」という意識を持って消しゴムを使うことが大切だと思います。
成績表はしっかり見せよう
「隠さない習慣」といえば、あともう一つ。成績の状況も隠さないようにして下さい。たとえ悪い成績をとったとしても、必ずその結果は親や塾の先生に報告すること。小言を言われるかもしれません。でも、きっと、なぜ悪い結果になってしまったのか、一緒に考えてくれ、次にどうすればよいか、適切なアドバイスをしてくれると思います。