長谷川豊発言は誤りだったのか? 各局組織図を検証してアナウンス部門の位置づけを分析してみる

堀江貴文×長谷川豊の対談が物議

 25年2月に配信された「ホリエモンチャンネル」。堀江貴文と対談したのは長谷川豊だった。
 この二人とフジテレビというのは因縁の組み合わせだ。堀江はライブドア事件で、そして長谷川は元フジテレビアナウンサーで、ニューヨーク支局時代に会社経費の不正使用疑惑で退社している。私怨をもつ二人の50分に渡る対談は実名が飛び交う衝撃的な内容だった。
 

 この対談の中で、長谷川がフジテレビだけが編成局の下にアナウンス部があり、他局では編成とアナウンスが対等な関係なので、仮に編成から接待的な要請があっても、アナウンス部門の上長が突っぱねることができると発言した部分が、2日のサンデージャポンで物議を醸した。ホリエモンがサンジャポ内でこの長谷川の話を引き合いに出して発言した部分が事実とは異なると指摘を受けたのだ。
 番組内で良原アナが訂正し、東スポ記事としてYahoo!ニュースにも配信されている。

 この長谷川の発言はあやまりであると、訂正されたが、もしこれが事実だとすれば、フジテレビは他局と違いガバナンスが機能不全に陥る組織体系だったことになる

 そこでしいたけタイムスでは、在京キー局の組織図(25年2月2日時点)を調べ、実際はどうなっているのか検証を試みた。

在京キー局の組織図を検証し、長谷川発言の真偽を検証する

日本テレビ

 日本テレビはコンテンツ戦略本部の下にコンテンツ戦略局があり、その下に総合編成センターとアナウンス部が横並びに配置されている。
 ちなみに23年7月の同社の社長定例会見にはこう発表されている。

日本テレビ放送網はコンテンツ戦略本部の中の編成部を廃止し、総合編成センターという形で置いた。宣伝部も廃止し、マーケティングコミュニケーション部を設置した。データマネジメント部もコンテンツ戦略本部側に入れた。1年前はコンテンツを配信するICT戦略本部があったが、今回はあらゆる出し先にコンテンツを展開するために、ICTの機能をコンテンツ戦略本部に溶け込ませた。宣伝部はSNS含めたネット展開を視野に入れ、それらを分析するデータマネジメント部も中にあるので、情報を共有していく。

TBSテレビ

 TBSはコンテンツ戦略本部の下にコンテンツ戦略局がある。TBSは24年1月に組織改編をしていて、この部署がいわゆる「編成」であるのは、社長定例会見を見るとわかる。

これまでの総合編成本部編成局が改まり、「コンテンツ戦略本部コンテンツ戦略局」となりました。番組を編成するというこれまでの仕事に加えて、TBS グループが持つすべてのメディアに関わり、コンテンツの LTV=ライフタイムバリューについて戦略を練る仕事も増えました。

 番組内では訂正したが、この組織図を見る限りでは、コンテンツ戦略局とアナウンスセンターは対等の関係になっている。

テレビ朝日

 テレビ朝日はコンテンツ編成局の下に「総合編成部」がある。「アナウンス部」も同列に位置していて、編成とは対等な関係である。
 同社の採用サイトで総合編成部の社員が、「編成は、どの番組を存続させるかといった評価や判断を迫られる部署」と仕事紹介しているから、この部署がいわゆる「編成部門」であるのは間違いない。

テレビ東京

 テレビ東京はコンテンツ戦略局の下に「コンテンツ編成部」と「アナウンス部」が対等に配置されている。ここも編成とアナウンスが対等に組織されていると言って良さそうだ。

 さて、問題のフジテレビはどうなのか。

フジテレビ

 おどろくことに、同局は公表されている組織図の中に「アナウンス部」「アナウンスセンター」が存在しない。念のため、全体の組織図をくまなく探したが、どこにも「アナウンス」も文字は見当たらなかった。

 この組織図だけでの推測になるが、他局と比較してフジテレビでのアナウンス部門の扱いが異質だという長谷川の指摘は間違えていないことになる。

 ホームページに記されている組織図は概要であり、もっと細かく部署がぶらさがっているはずだ。ただ、この中にアナウンス部署が表記されていないということは、経営サイドから見た部署の地位が決して高くないということの現れだ。

 YouTube内で長谷川が「編成局の下にアナウンス部門がある」といったのは、この組織図の「編成局」の下にアナウンス部門がぶらさがっているのではないかということだ。ここは裏取りが必要だが、メディアにはこの辺りをしっかり検証してもらいたい。

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