同じお題に対してChatGPTとDeepSeekはどうレスポンスしてくるのか。しいたけタイムスでは「米中AI対決」を試みました。何をお題にするか悩みましたが、比較的定型でビジネスでも利用できそうなものという視点で、「企業のリリース文を記事化する」ことを対決させてみることにしました。
せっかくだから、話題のフジテレビが25年2月6日にリリースした「再生・改革プロジェクト設置」のプレスリリース文をお題にしました。
まずは、フジテレビのHPに公開されているリリース文です。

AIへの指示は「次のリリース文を新聞記事にしてください」という形に統一しました。
Chat GPT

しいたけ
次のリリース文を新聞記事にしてください

GPT
リリース文を送ってください。それを元に新聞記事の形にリライトします。
これに対して、フジのリリース文をテキストにしたものをGPTに送りました。その回答がこちらです。
フジテレビ「再生・改革プロジェクト本部」設置について
本日、株式会社フジテレビジョン(以下、「フジテレビ」)は、同社常勤役員の会議(常務会)
において、「 再生・改革プロジェクト本部」(本部長:フジテレビ代表取締役社長 清水賢治)
の設置を決定しました。課題に真正面から向き合い、組織の在り方を見直し、信頼とブランド
の再構築を目指します。
構成
当本部では、本部長の元、 「再発防止・風土改革」など複数のワーキンググループ ( 以下、
「WG」)を設置します。
WG メンバーは、現場の率直な意見を反映させるために中堅・若手を中心に構成します。
あわせて外部の専門家の知見も取り入れながら、具体的かつ実効性のある改革を、本部長
が先頭に立って速やかに実行に移します。
取り組みの流れ
当本部では、まず「再発防止・風土改革」に重点を置いて、取り組みを開始します。
本部長はすでに現場との話し合いを開始しており、意見や実態を広く吸い上げ、改革案に
反映していきます。誰もが働きやすく、個人の意思が尊重される職場環境を目指して、
人権意識に関する研修、内部通報制度の拡充 ・ 通知方法の見直し等、多岐にわたる項目を、
目に見える形で変えていきます。
今後の方向性
今回の事案では、「コンプライアンス」と「ガバナンス」の特に運用面において、課題
が見られました。フジテレビと株式会社フジ・メディア・ホールディングスは第三者委員会
に調査を委嘱しておりますが、必要な対策は自主的に進めつつ、今後の調査結果を踏まえて、
より一層適切な措置をとってまいる方針です。
また、当本部の取り組みに関しては、随時情報を開示していく予定です。
フジテレビが”再生・改革プロジェクト本部”を設置
2025年2月6日、株式会社フジテレビジョン(以下、フジテレビ)は、社内の常勤役員会議において「再生・改革プロジェクト本部」の設置を決定した。本部長には同社代表取締役社長の清水賢治氏が就任し、組織の見直しと信頼回復、ブランドの再構築に取り組む。
現場の声を重視した組織構成
本プロジェクト本部では、まず「再発防止・風土改革」をテーマとしたワーキンググループ(WG)を複数設置。これらのWGには、中堅・若手社員を中心にメンバーを選定し、現場の意見を反映しやすい体制を整える。また、外部専門家の意見も取り入れながら、実効性のある改革を推進していく方針だ。
再発防止と職場環境の改善に注力
プロジェクト本部はすでに現場との意見交換を開始しており、その声を改革案に反映する予定。職場環境の改善に向けて、人権意識向上のための研修や内部通報制度の拡充、通知方法の見直しなど、具体的な施策を順次実施していく。
コンプライアンス・ガバナンスの強化
今回の取り組みの背景には、コンプライアンスおよびガバナンスの運用面における課題がある。フジテレビとその親会社であるフジ・メディア・ホールディングスは、第三者委員会に調査を委嘱しているが、自主的な対策を並行して進める意向を示した。調査結果を受け、さらなる適切な対応を講じる考えだ。
今後、プロジェクト本部の活動内容については随時情報を開示し、透明性を持った改革を進めるとしている。
講評
多少、リライトは必要ですが、見事な回答でした。
日付を入れたり、リリースでは( )内に書かれた本部長を地の文に変換したり、適度な体言止めでリズムを出したりとなかなかな腕前です。
「WG メンバーは、現場の率直な意見を反映させるために中堅・若手を中心に構成します」というリリース文は「これらのWGには、中堅・若手社員を中心にメンバーを選定し、現場の意見を反映しやすい体制を整える」と書き換えられ、「現場の意見を反映する」というポイントがより伝わる内容にリライトされました。
まだ実行に移されているわけではないので、その点をくみ取って、「方針」「順次」という言葉を入れたり、「人権意識に関する研修」を「人権意識向上のための研修」とより伝わりやすく書き換えた点も見事です。
驚いたのはフジ・メディア・HDの頭に「親会社」のという修飾語を付けて、フジテレビとHDの関係を明確にしたところ。最後の「透明性」という言葉もリリース中にはないが、文脈を読み取ってGPTが補足したワードです。
DeepSeek

しいたけ
次のリリース文を新聞記事にしてください

DS
もちろんです!以下のリリース文を新聞記事に変換してみます。
と、送ってもいないのに「以下のリリース文を新聞記事に変換してみます」といきなり頓珍漢な返事。会話できていません。

「次の」というのが誤解を招いたのかもと思い、「リリース文を新聞記事にしてください」と指示をしましたが、反応は同じでした。
そこで、「次のリリース文を新聞記事にしてください」と打ち込んだ真下に、リリース文のテキストを一緒に投稿しました。そしたら、記事を作成してくれました。
能力的にはGPTが出始めたころの感じです。まだ、滑らかさと柔軟性に欠けている印象です。
フジテレビ「再生・改革プロジェクト本部」設置について
本日、株式会社フジテレビジョン(以下、「フジテレビ」)は、同社常勤役員の会議(常務会)
において、「 再生・改革プロジェクト本部」(本部長:フジテレビ代表取締役社長 清水賢治)
の設置を決定しました。課題に真正面から向き合い、組織の在り方を見直し、信頼とブランド
の再構築を目指します。
構成
当本部では、本部長の元、 「再発防止・風土改革」など複数のワーキンググループ ( 以下、
「WG」)を設置します。
WG メンバーは、現場の率直な意見を反映させるために中堅・若手を中心に構成します。
あわせて外部の専門家の知見も取り入れながら、具体的かつ実効性のある改革を、本部長
が先頭に立って速やかに実行に移します。
取り組みの流れ
当本部では、まず「再発防止・風土改革」に重点を置いて、取り組みを開始します。
本部長はすでに現場との話し合いを開始しており、意見や実態を広く吸い上げ、改革案に
反映していきます。誰もが働きやすく、個人の意思が尊重される職場環境を目指して、
人権意識に関する研修、内部通報制度の拡充 ・ 通知方法の見直し等、多岐にわたる項目を、
目に見える形で変えていきます。
今後の方向性
今回の事案では、「コンプライアンス」と「ガバナンス」の特に運用面において、課題
が見られました。フジテレビと株式会社フジ・メディア・ホールディングスは第三者委員会
に調査を委嘱しておりますが、必要な対策は自主的に進めつつ、今後の調査結果を踏まえて、
より一層適切な措置をとってまいる方針です。
また、当本部の取り組みに関しては、随時情報を開示していく予定です。
フジテレビ、「再生・改革プロジェクト本部」を設置
信頼とブランドの再構築に向け本格始動
2025年2月6日、株式会社フジテレビジョン(以下、フジテレビ)は、同社の常勤役員会議(常務会)において、「再生・改革プロジェクト本部」の設置を決定した。同本部は、フジテレビ代表取締役社長・清水賢治氏が本部長を務め、組織の在り方を見直し、信頼とブランドの再構築を目指すことを目的としている。
組織構成と取り組み
「再生・改革プロジェクト本部」では、本部長の下に「再発防止・風土改革」をはじめとする複数のワーキンググループ(WG)を設置。WGのメンバーは、現場の声を反映させるため、中堅・若手社員を中心に構成される。さらに、外部専門家の知見も取り入れながら、具体的かつ実効性のある改革を迅速に推進する方針だ。
重点課題と具体的施策
同本部はまず、「再発防止・風土改革」に重点を置いて取り組みを開始する。清水本部長は既に現場との対話を開始しており、社員の意見や実態を広く吸い上げ、改革案に反映させる。具体的には、誰もが働きやすい職場環境の実現を目指し、人権意識に関する研修の実施や、内部通報制度の拡充・通知方法の見直しなど、多岐にわたる項目を改革していく。
背景と今後の方向性
今回の改革は、フジテレビおよび株式会社フジ・メディア・ホールディングスが直面した「コンプライアンス」と「ガバナンス」の運用面での課題を踏まえたもの。両社は既に第三者委員会に調査を委嘱しているが、必要な対策は自主的に進めつつ、今後の調査結果を基にさらなる適切な措置を講じる方針だ。
清水本部長は、「今回の取り組みを通じて、フジテレビの信頼回復とブランド再構築に全力で取り組む。現場の声を大切にし、透明性の高い改革を進めていく」とコメントしている。
同本部の取り組みについては、随時情報を開示していく予定であり、今後の動向が注目される。
講評
比較するとよく分かりますが、DeepSeekはリリース文の内容をほぼ変えないで、文末を記事っぽくしているだけの印象です。GTPが行った文脈から読み取って、文自体の順序を変えてリライトしたり、はほとんどしていません。フジテレビとフジ・メディア・HDの関係もともすれば別会社のような書き方をしているのも、能力不足という印象です。
評価できる点としては「清水本部長は」とコメントを差しはさみ、最後に今後の見通しで締めたところでしょうか。とはいえ、このコメントが清水本部長のものかの真偽は分からないため、裏が取れていない点は問題が残ります。体裁としては悪くないですが…。
ラストの「なりゆき構文」も紋切型なのでどうなのかなという気はします。
圧倒的にChatGPTの方が現段階では優秀です。ただ、学習歴に差があるので、これは仕方ないのかもしれません。今後学習を続ける中でDeepSeekも進化を遂げていくんでしょうから、あくまで現時点での評価です。